徒然草−日々思う、あんなこと、こんなこと。−
 


*百三十三段*<想い出の断層−45−>2008.7.10

 来月に指揮をするラフマニノフのピアノ協奏曲のソリストとの合わせをした。

 30年も前のことが思い出された。自分なりの夢を持って教員になったころだ。
 初任の学校だったが、はっきり言うと荒れていた学校といっていいだろう。価値観の違いすぎる教師集団、○○市立なのだが、○○○○立といってもいいくらい組織としての秩序の乏しい職場だった。

 そういえば、生徒指導の担当だった私が持ち物検査をやったら、何人かの先輩教師にひどく抗議をうけたことがあった。清掃の時間に清掃指導をしたときも学年会議で問題にされたこともあった。彼らの言い分は指導が管理的で認められないというものだった。
 このときの経験は、その後どんな学校に転勤しても、こわくはないぞ、という妙な自信を私につけさせてくれた。同時に組織の中で、誰かが強行に大声を出すとそれに流されることも学んだ。多数に流されない今の自分になれた原点かも知れない。

 そんな中にいた生徒の一人が、ラフマニノフのコンチェルトを弾く。生徒全体はどうだったかを振り返ると、学力や文化レヴェルが高く、とにかくレスポンスが速かった。一を言えば十を悟る、といった感じだ。能力が高かった。
 その中の代表選手ともいえるのがこの生徒だ。

 私の少しの自慢が、三校での教諭時代、それに管理職時代も含め、その時その時の生徒だった者が何人も今でも一緒に音楽を通してかかわっていてくれていることだ。要するに生徒に恵まれたのだ。この幸運に感謝をしなければならない。
 感謝と謙虚とを、いまでも私に思い起こさせてくれる人生の師匠とも言える。

 師匠は年長とは限らない。昔を思い出させてくれる昔の生徒は、懐かしさも与えてくれるし、また、今の私を無言で戒めてくれる、無くてはならない存在だ。



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