徒然草−日々思う、あんなこと、こんなこと。−
 


*百六十三段*<思い出の断層−51−>2008.9.26



 気がつくと日にちが経ち、あ、もう九月も末か・・と思った。陽射しも、気がつけば秋らしいと感じるし、湿度も下がり快適に感じる。しかし、この、気がつけば…というのは要警戒かも知れない。…気がつかない…ということと近いとも言えるので・・・。

 清水 脩さんの合唱組曲「月光とピエロ」が心に浮かんだ。その中に「秋のピエロ」が特に印象深い。
 −−泣き笑いして 我がピエロ 秋じゃ と歌いけり Oの形の口をして −−−
という内容の詩だ。原曲は確か無伴奏の男声合唱で、混声の版もあったと思う。

 かなり、前に畑中良輔さん指揮の慶応大学ワグネル男声合唱団の演奏を、東京文化会館で聴いたことを思い出した。−−Oの形のくちをして−−のところの子音を明確に、というよりもこれ以上無いほどの鋭い発音で歌っていて驚いた。その徹底した表現に感動した。−−カタチノクチ−−という部分をほとんど無声音で処理していた。ほかの大学の演奏もあったのだが、あまり記憶に残っていない。それほど、衝撃的な「月光とピエロ」だった。作曲者自身の指揮の演奏や他の演奏ももちろん聴いているが、どれもが物足らなかった。

 長兄が所属していた高校のOBの男声合唱団の演奏で「月光とピエロ」の魅力に惹かれ、慶応大学の男声合唱の表現でさらに惹かれた。最近、会う機会がめっきり少なくなったその兄のことも一緒に思い出させてくれたこの曲は、思えば私のなかでの男声合唱曲の一番の名曲だ。



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