徒然草−日々思う、あんなこと、こんなこと。−
 


*百六十九段*<想い出の断層−54−>2008.10.7

 「たてしな日記」を読んだ続きになる。
 KTU女声合唱団の合宿のことが書かれてあった。著者は信州への思いがことさら強いと書いてある。文からもそれは読み取れる。蓼科に山小屋を持ってしまうくらいだから。電気も水道もない山小屋だが、そこは著者にとっては天上の楽園のように書かれてある。渇いた心が潤う感じなのだろうか。

 真似をしたのではないが、私の指揮をする合唱団も合宿を毎年行っていた。北軽井沢であったり、中軽井沢であったり、白樺湖であったりだったが思えば全部信州だ。合唱の練習が中心だが、合間にハイキングがメニューにあった。どこも、高原だから歩く道には事欠かない。霧ヶ峰のハイキングでは、レンゲつつじのオレンジの色合いが印象的だった。群生しているのではなく、つつましく咲いているのを、ふと見つけるという感じだ。

 北軽井沢の紅葉も目に残っている。白樺湖では何回かの降雪にも見舞われたし、中軽井沢・・・正確には信濃追分だが、郭公の鳴き声が耳に残っている。

 昼間と夜の大部分は合唱練習、間に散策やハイキング、夜は懇親会・・・飲み会だ。充実感一杯の数日間だ。このように生きたいと思った。だが、その時には現実的な選択をし、音楽教師になる、と決めていた。同じような思いは後に、中国の演奏旅行の時にも抱いた。何かを思った時には実は次の道が決まっていた、というパターンを何回も繰り返したような気がする。進む道が定まらないというか、優柔不断というか・・・。

 人生の残り時間は段々少なくなっていく。当然だ。あの青春時代の思い出深いところにもう一度行ってみたい気持ちがある。それと同時に、いま再訪したとして、はたしてあの頃と同じ思いを持つことが出来るのか?些かの不安が心をかすめる。



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