徒然草−日々思う、あんなこと、こんなこと。−
 


*百八十四段*<ショルティ&シカゴ響の五番>2008.11.21



 コンビチュニー、クレンペラー、マルティノンの指揮のことを書いたのは、ここ三回の徒然草だ。

 一枚もなかったクレンペラーのCDが何枚にも増えた。驚いたことに音質が良く、とても50年も前の録音とは思えないくらいに音が新鮮だった。ベートーヴェンの世界を堪能した。音についての懸念があったのだが、リマスターされていた。

 SP盤で聴いた記憶のあるような音ではなく、かなりみずみずしい音になっていた。摩擦音のなかから楽音を聞き取るのは意外にストレスが大きい。神様のようなフルトウ゛ェングラーの指揮でもシンフォニー全曲を聴くには忍耐が必要だ。少なくとも私には。それにウ゛ェールをかぶっているような音には、美しいものを見たくても見られないのと同じ苛立ちが湧いて来る。

 科学技術の進歩はありがたい。会えなくて苛立っていた恋人に出会うかのように音がよみがえるのだから・・・。
 さてクレンペラーの指揮だが、自分が振るときの参考にするのは少々難しい。やはりテンポの遅さに感覚がついていかない。

 ショルティ&シカゴのサントリーホールでの公演の映像を見て聴いてみた。ベートーヴェンの五番だが、これには圧倒された。ショルティの気迫とシカゴのあまりにも高い技術との両方にだ。トランペットにアシストがついていた。ところがなかなか吹かないのだ。ようやく第四楽章のコーダの最後のほんのわずかな場面でようやく四人揃って吹き出した。この贅沢な?使い方にびっくりした。

 とにかくシカゴ交響楽団はうますぎるくらいにうまい。飽きるほど演奏している五番でも手抜きを感じさせない。そのプロ意識にも感服し、後味のよい鑑賞ができた。
 巨匠と上手くて精神の高いオケとの組み合わせでの音楽は、生きる甲斐になるほどのパワーを持っている。



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