徒然草−日々思う、あんなこと、こんなこと。−
 


*二百十六段*<産業遺産>2009.2.14

 たまたま見たテレビで「産業遺産」というタイトルの番組があった。
 民放の番組だが、もちろん初めて見た。「世界遺産」は目にするが「産業遺産」?といぶかしく見ていたのだが、この日は山梨県の甲州市、勝沼ぶどう郷のあたりだった。

 産業遺産の題名どおりに、明治時代から始まった甲州葡萄を使ってのワイン醸造に使用していた工場や倉庫や運搬ルートなどが紹介されていた。物の紹介だけでなく、今回でいうとワイン造りに生涯をかけた人の紹介や連綿と今でも続くワイン醸造への歩みも紹介されていた。
 ワインに向く葡萄の種類があり、「甲州」という品種での世界に認められるワイン作りにチャレンジしている人が紹介され、工場の方の話も紹介されていた。

 目的をもって、一つのことに打ち込んでいる人は、そのことについて話をするときに実にうれしそうな表情で話をされる。この番組でもそういう場面があった。
 不思議にその表情を見ているだけでも、こちらも不思議な力が湧いてくるのを感ずることができる。
精神はあくまでも高く、製造過程は近代的なものを臆することなく取り入れる。これが、産業遺産を受け継ぐ方法の必須ではないかと感じた。

 葡萄は水が豊かで、土壌の豊かな土地は逆に上質の葡萄が育たないのだそうだ。やせた土地のほうが良い品種がそだつとは・・・果物、植物も生命体なのだと思えば、理論的ではないのだが、なんでも恵まれていることですべてがよし、ということではないのだとも考えられる。
 植物も人も同じ面を持っているかも知れないと思った。

 別の番組では、動物の「カバ」の持つ優れた能力とすぐれた皮膚を紹介していた。水分が少なくなると、体内からそれを補う分泌物を出し、乾燥を防ぎ、かつ、傷を負っても傷口から感染しないような、抗菌作用まで持っているのは驚きだ。ライオンでさえも、カバの皮膚には、牙も爪も歯が立たない、その場面も画面にあった。何回もカバを襲うのだが、文字とおり歯が立たずにあきらめるライオンの姿だった。
 弱肉強食の自然の厳しい命のやり取りではあるが、カバに歯が立たないライオンの姿には思わず笑った。

 ただし、このすぐれた皮膚を利用するために、人間による狩猟により、カバは今では絶滅の危機にあるのだそうだ。象の象牙のための狩猟といい、人間はつくづくあくなき欲望の持ち主だと、思わされる。
 己の欲望をセーブすることをしない人間とは、人間といえるのか、はなはだ疑問だ。お金を取得するために生きているような人もいるが、それで得られる満足感はどの辺にあるのか、金銭にほとんど縁のない私にはとうてい理解はできないのだ。
 それでも、もう少しだけお金があればいいなと思うことは、確かにある。すぐに忘れてしまうのだが。



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