徒然草−日々思う、あんなこと、こんなこと。−
 


*二百二十一段*<日本人の感性>2009.2.24

 アカデミー賞の発表があった。日本の作品が二つも受賞したということで、テレビや新聞がこれでもちきりだった。外国語映画賞「おくりびと」、短編アニメ―ション賞「つみきのいえ」・・・快挙だ。二人の監督と一人の男優の会見が爽やかで、喜びが素直に語られ、受賞に花を添えていたように思った。「おくりびと」は構想から15年といわれる。粘り強い作品完成までの道のりだ。納棺師の存在を私は初めて知った。

 日本には日本の良さや、文化の伝統、しきたりも含め、欧米にはない感覚を必ず持っているというのが持論なのだが、それが世界で証明されたようで嬉しい。

 音楽にも、必ず日本人の感覚があり、それをもとに表現活動をしたいと考えている私は、自分の価値観が後押しされたような気がする。

 極東の日本に住み、日本の伝統の中で育ち、日本の精神を無意識に受け継いでいるのが私たちだと思うのだ。西洋音楽の表現にもそのことは反映されるし、反映していくのが自然だと考えている。昔の大学の音楽の教授が、二言目には「ウィーンでは・・・・」と言っていたそうだ。音楽は曲が生まれた国の人でなければ理解や表現ができないという芸術ではないだろうと思っている。だから、「本場」崇拝は不要のはずなのだが、日本人は「本場」「元祖」「本家」とかに弱いところがあるようだ。

 強靭な中にもしなやかさや、厳しい表現の中にも穏やかさがあり、日本人の私が感じるドイツ人とは違うベートーヴェンの表現もベートーヴェンは受け入れてくれるだろう。彼の持つ音楽自体の奥の深さがそう思わせてくれる。

 来るべく迫った演奏会では、日本人の感性をもとにベートーヴェンを表現し、お客様にそれを伝えたい。



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