徒然草−日々思う、あんなこと、こんなこと。−
 


*二百四十四段<お客様は、神様です>2009.3.19

 指揮リサイタルまであと七日になった。「リサイタル」と呼ぶからには、個人の主催での演奏会だ。すべての責任は私にある。とわかっているが、これがなかなか厳しい。今までに私の個人名でのリサイタルを二回行った。その時に感じていたものと違うものを感じている。合唱指揮リサイタルのときには、お客様の人数を私が心配した記憶がないのだ。
 ということは、他の人たちが私の代わりに手を打っていてくれていたということになる。
 その時には、そのありがたさをあまりわからなかった。浅はかだった。未熟だったのだ。
 組織で長く仕事をしていたものが、個人での仕事に代わると、その大変さがしみじみ身にしみる。独立とか会社を興すとか、言葉では響きがよいが、軌道に乗せるには並大抵の苦労ではないということだ。「寄らば、大樹の陰」とは言いえて妙な例えだ。

 確かに「指揮リサイタル 高橋利幸の心の世界」との表題を付けても、たいがいの人にはほとんど意味もなく、大体、「指揮リサイタル」なんてやった人はいないのだから、それって何だ?というくらいのものだろう。この企画自体が冒険過ぎたかも知れない。反省も含めて自省しているところだ。
 しかし、「新しいことを始めるときは、条件がそろっているからできるものではない。強い思いがあるからできるのだ」という言葉もある。確かにすべての条件がそろってからやるとしたら、極端にいえば何もできなくなる、ということになる確率が高い。
 だれもやらなかった・・・か、やれなかったかの、指揮リサイタルをどうにかやるところまで、こぎつけたことを僥倖と思うべきなのだろう。もう、じたばたしても始まらない。もう、「俎板のコイ」の心境になる時か。

 それにしても、一人でも多くの人に聴いてほしいと願う気持ちは変わらない。この徒然草を読んでくれている人の人数は、何十人かだ。媒体としては考えていないページなので仕方がないのだが、このページを読んでくれている方々は、ぜひ会場まで足をお運びください。鬱々とした昨今の空気を吹き飛ばすような、熱い演奏をお聴かせします。
 会場の紀尾井ホールはとても音の良い、気持ちの良いホールです。そして、ホールまでの街路には桜が咲いています。たぶん・・・。目の前のホテルでティーブレイクをして、それからホールにお入りください。あ、ホールにもバーコーナーがあります。そこで時間をつぶされるのもいいかと・・・。
 演奏会の中身の宣伝ではなく、周辺の素晴らしさを宣伝してしまいました。これも付加価値として大きいかもしれません。
 もしかしたら、これが本来の価値で、リサイタルが付加価値かも・・・いずれの動機にしてもご来場いただけるだけで、神様です。「お客様は、神様です」といった三波春夫さんの言葉が重い一言だとわかりました。



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