徒然草−日々思う、あんなこと、こんなこと。−
 


*三百十八段*<ブラームスの交響曲第4番>2009.8.14

 ブラームス交響曲第4番、何と美しい曲だ。ブラームス全交響曲、わずか四曲。その追尾を飾る名曲中の名曲だ。ホ短調・・・これだけで心が揺れ動くではないか。単純な私はこんな小さなことでも心が動く。ロマンティックの極みの曲とも思えるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲がホ短調、これだけの関連でも曲を思うには十分だ。

 第一楽章の哀愁を帯びた、これ以上の切なさはないと思えるほどの弦の調べ、哀愁と雄渾さの対比のうちに、あっという間にこの楽章が終わる。最後のティンパニーの乾坤の連打・・・哀切の極みだ。
 第二楽章は一楽章の終わりとは対照的ともいえる宗教曲かと思わんばかりの荘厳さにあふれている。しかしそれでも全体を覆うのは憂愁感だ。弦楽器と管楽器との妙なる調和を思わせる音のふくよかさが胸にしみる。
 第三楽章・・・トライアングルだ。この高音を出す小さな三角形の楽器がこの楽章のイメージを作っている。この楽器の音がなければ何とも説得力が弱くなる。魂の音という意味で、交響曲の中でこんなにトライアングルを効果的に使った曲を私は知らない。
 第四楽章、バッハのカンタータの一節を主題にしたシャコンヌだ。この主題を30回も変奏させる。54年の生涯であるブラームス再晩年の作品にふさわしくもあり、力のこもった楽章になっている。満を持してトロンボーンが効果的な荘重なコラールを演奏する。フルートのソロも美しさを通り越して神がかり的だ。

 ベートーヴェンをこよなく尊敬し、ローソクのように真っ白でまっすぐな人だと称されるヨハネス・ブラームス・・・52歳の時の畢生の名曲だ。

 822日という期日を考えると、晩夏にもなり、夏と秋との境界線の期日だともいえよう。この時期にブラームスの第四交響曲が何と自然に心にしみてくることか。
 真冬にふさわしいブラームスの交響曲は一番、春から夏にかけてふさわしいのが二番、秋から冬にかけてのイメージが三番・・・こう考えると、四つのブラームスの交響曲はまるで日本の「四季」をあらわしているかのようだ。

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