徒然草−日々思う、あんなこと、こんなこと。−
 


*三百二十七段*<旅行=味覚>2009.9.7

 近くのショッピングセンターにCDを探しに行った。近くと書いたが、本当に近くなのだ。歩いて2、3分。その中の店舗に大手のCDショップがある。残念なことにクラシックのコーナーが極端に狭く、希望の品はほとんど手に入らない。最近、特に陳列されているクラシックが減少しているようにも思える。一抹の期待を抱いての時々の私の行動だ。

 今日もベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番を求めていったのだが、案の定在庫はなく、ネットで購入しようとすぐに考えた。

 その店舗の近くに旅行代理店があり、その中のパンフレットを幾つか手にした。その中に秋から冬の京都のパンフがあった。旅行のパンフレットは見ていて楽しい。色もきれいだし、最初からその場所のいいところだけ紹介しているのだから、見ているだけですでに旅の気分にさせてくれる。

 京都の漬物の販売店の中で私の一番のお気に入りは「加藤順商店」だ。もっと有名な店はたくさんあるのだが、それらのメジャーな店とは違う味を出している。その味のきっかけを作ってくれたのはある旅行会社の人だった。今から十年以上も前の事だ。この漬物の味が気に入り、出来るだけ人には話さないでいたのだが、何年か前に旅行雑誌に大きく掲載されたのを見て、ちょっと残念な気がした。いいものは自分だけの物にしておきたいと思う人間の性かも知れない。

 もう、有名になったのだから、秘密にする意味もない。店の大きさは本当に小さなものだ。来店客を相手にしているというより、全国に発送するのが忙しいといった様子のお店だ。
 最近の情報は知らないのだが、もしほかに店舗を増設したりしてなければ、その店での購入か通信販売でしか手に入らない。

 浅漬けの一つの赤い大根の漬物や、比較的長持ちをする縮緬山椒など、ほとんどの品が納得の味だ。ご飯の友の漬物というより、漬物そのものを味わうべきという逸品だ。
 と、ここまで書いたのだが、私自身は、微妙な味が分からないかもしれないジャンルの人間だ。以前、飲み会で果物の香りがするカクテルを頼んだ人がいて、それが運ばれてきた時、フルーツの香りは分かったのだが、その主たる香りがバナナだと、教えてもらうまで分からなかったくらいの鈍感さだ。全員がバナナと分かっていたのに・・・ちょっと己の味覚か臭覚の能力の底が知れた気がして、忘れられないエピソードになった。

 旅行=味覚・・・これはセットになっている。私の中では。素材の味を味わいたい。あまりに加工を加えて、料理が芸術作品のようになった時、その時が、その料理の終わりの時だと思うのだ。芸術作品になると値段も急に高くなることが多い。それよりも良質の素材を極めて、少ない手の入れ方で味わうのが私は好きだ。なんとなく音楽の表現にも共通のものがあるように思う。お金の乏しい中でもたまには「素材」そのものを味わいたいものだ。

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