徒然草−日々思う、あんなこと、こんなこと。−

*三十六段*<想い出の断層−17−>2008.1.14

 ナポリタン、この響きが懐かしい。今のイタリアンのパスタ料理のナポリタンとは違うのだが。

 ある本で京都の喫茶店のスパゲティーナポリタンが紹介されていた。それはまぎれもなく昔のナポリタンだった。パスタと玉ねぎやピーマン、ベーコンあるいはハムの細切りをトマトケチャップでフライパンの中で一緒に炒めてしまう料理だ。今ではあまりお目にかかれなくなってしまった。今のナポリタンはパスタはパスタで茹で、その上にトマトベースのソースを載せるのだろう。これが本来はイタリア料理のナポリタンなのだろう。

 大学生の時に高校の同級生だったK君と一緒にアルバイトをした。新丸ビルの中のレストランだ。短期のアルバイトのつもりだったが結局パートの形で結構長く勤めることになった。そのレストランのナポリタンも一緒に炒めるものだった。日本式ナポリタンとでも言えるのか。しかしそれが何ともいえず美味いのだ。

 そういえば、中国に演奏旅行に行った時も日本のラーメンと同じ味を予想して麺類を注文してみたが見た目は麺類だから似てはいても、味は全く違うものだった。

 パートの給料日には仕事の後に、同じ東京駅の八重洲地下街にあったデルモンテの喫茶店(これも死語かも、いまで言うとスタバかドトールか?)で、その昔のナポリタンを食べたことが思い出される。

 二人で見つけたアルバイトだったが、私は何年かのちに辞めて音楽の勉強を始めた。その時のK君はその後も勤務を続け正社員になることになる。ある時のテレビ放送の中でそのK君が登場した。ドライカレーを初めてメニューにのせたレストランのクイズ形式の番組でドライカレーの説明をしていた。実はそのレストランがドライカレー発祥のレストランだったのだ。

 新丸ビルはもちろん最近建て替えられ東京駅周辺のランドマークになった。丸ビル、新丸ビルは昔も東京駅丸の内側のシンボルだった。

 食べ物の記憶は長く持続し、その記憶から人の記憶も引き出してくれることがある。遥か昔の思い出ではあるが、ナポリタンもアルバイトのこともK君のことも鮮烈に思い出すことができる。



 
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