徒然草−日々思う、あんなこと、こんなこと。−
 


*三百七十二段*<病院にて>2009.12.4

 病院で採血していたとき、隣の席で同時に採血されていた人と看護師の会話だ。

 注射針をさす前に「アルコールとかにかぶれたことはありませんか?」と看護師が訊いた。おじいさんが答えた、「アルコールは飲まない」と。微妙な雰囲気が一瞬漂った。
 そのやりとりがあまりに自然だったので私も思わず笑ってしまった。看護師は「そのことではなくて…」と言ってそれ以上は追及しなかった。

 病院はどこかが具合悪くて診察や治療や入院のために行く人が大部分だ。基本的に楽しいところとは言い難く、明るいというのも難しい。
 そんな病院だが、それでも最近の病院は明るい。建物が明るく出来ているという意味だ。照明も明るいし、窓も大きい。場所によっては天井がガラス張りで自然の光がまぶしいくらいだ。これで、待ち時間が短ければいうことなし、だが、これは病院によって違うのと、診療科によっても違ってくる。
  あとは、どんな医師に巡り会うか、で精神的な面で大分受ける感じが違ってくる。病気によっては命を預けることにもなるのだから、病院選びと医師との出会いが治療のスタートとして大きな要素だ。「医師との遭遇」は「未知との遭遇」だ。

 それにしても、今日の採血の時の会話は思い出すたびに楽しくなる。この文章ではその人の雰囲気や話し方や周りの反応を伝えることはできないのが残念だ。

 今までに私の入院経験は一度しかなく、三日間だった。それでも結構ストレスだった。この機会にゆっくり寝ようと考え昼間からひたすら寝ていた。いくらでも寝られたのでそれは体がそう望んでいたのかも知れない。そう考えればその時に必要な入院だったと今は思っている。

 サマセット・モームは「苦労や苦痛を乗り越えた人こそが立派な人格を作る、という人がいるが、それは違う。もし、そうだったら、病院の患者はみんな豊かな人格者になるだろう。だが、残念なことにその逆が多いのだ…」というようなことを言っていたような記憶がある。極端な見方だが、確かに頷ける面もある。

 診察室からまだ名前を呼ばれない。

 と、書いているうちに診察の結果、系列病院での検査を指示された。まだ少しの時間が欲しいので、もちろん、その指示の通りに行動しよう。

 三百七十一段へ   三百七十三段へ