徒然草−日々思う、あんなこと、こんなこと。−

*三十八段*<想い出の断層−18−>2008.1.17


 三浦洸一さんの歌っている「踊り子」を耳にした。渡久地正信氏の作曲だ。中学か高校にかけての年にこの曲を聴いた。印象に残った。

 「踊り子」と聞くと川端康成の「伊豆の踊り子」を思いうかべるからだろうか。また違う意味で「寒い朝」とともに少年期から青年前期までの記憶に残る曲の中で特別な曲の気がする。

 三浦洸一さんは正統派の歌手だ。発声といい。歌う姿勢といい、また歌い方をむやみに崩さないまじめで折り目正しい歌い方だった。
正に正統派歌手といえる。
 
 さよならも言えず、泣いていた、私の踊り子よ、ああ 船が出る。この冒頭の詩にとくに惹かれた。さらに天城峠や下田も歌詞に出てくる。
この歌を聴いた頃には、まだ見ぬ風景を想像し夢は膨らみ、いまになっては実際にその風景を見て、逆に歌に思いを寄せることが出来る。

 河津七滝には伊豆の踊り子と学生帽を被った和服の青年の像がある。湯が島の浄連の滝には、天城越えの詩碑も建っている。

 踊り子と青年の初恋ともいえる心のときめきに己を照らし合わせることができる。

 その人にとって思い出の場所があり、思い出の風景があり、思い出の歌がある。その思いがあるのなら、精神老いずに青年のままでいられるような気がする。
 
 伊豆の踊り子が泊まったといわれる湯ヶ野温泉に泊まったことがあった。舞台となった旅館ではなく、湯ヶ野荘だった。舞台の旅館は福田屋だが、それでも伊豆の踊り子の気分は味わえた。確か、その湯ヶ野荘は今は閉ざされてしまっている。
 
 伊豆には、温泉もあり、山もあり、海もあり、滝もあり、湖もあり、峠もあり、河津桜もあり、吊し雛もあり、憧れのある土地だ。
 東京からも近く、思いが実現できそうな土地だ。歌われた歌詞を追ってみる旅も出来る。
 
 青春の経験をもう一度追体験してみたい・・・。これは私だけの夢なのだろうか。


 
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