指揮者 Conductor
高橋 利幸 Takahashi Toshiyuki


徒然草−日々思う、あんなこと、こんなこと。−
 



*四百十段*<雨ニモマケズ>2010.3.23

 このところ雨模様だ。明日も明後日も雨の予報、木曜日の本番の日も雨だろうということになる。雨の日は誰でも外に出るのはためらうだろう。私もそうだ。どうしても必要な用事でなかったら先に延ばす。演奏会は・・・これは来場予定者の意持ち次第ということになる。お客様の人数が減ることは間違いない。

 天気は雨、期末テストの前日、という悪条件のなか、東京文化会館に無謀にも行って、試験勉強をそっちにして演奏を聴きに行ったことを思い出した。読売日本交響楽団の演奏、曲目のメインはドヴォルザークの交響曲第7番。指揮がチェコのローハン、何十年前かの記憶だけでこれだけ思い出せるのだから、その時の試験の結果はおそらくダメな結果だったのだろう。演奏は・・・印象深く残っている。筋肉質のシャープな硬質のドヴォルザークの交響曲。
 忘れられない演奏会というのは不思議で、海外の一流オケの公演だから忘れられないということはないのだ。
 会場が大きすぎると私だけが感じているかもしれないNHKホールや普門館での公演は、どんな名門オーケストラやオペラ団の引っ越し公演でも、いい印象がなかったという観点では印象的な演奏会だ。舞台と客席の距離が遠すぎることや、生の音では会場の空気の容量のすべてを振動させきれないことが大きな要素だ。

 やっぱり生の演奏会ではライブ感を味わいたい。舞台の人間の体温を感じることができ、生の音を聴くことが可能な適度の大きさと空気の容量、それに良く設計された音響、これこそが生演奏を聴く醍醐味だ。

 東京公演での会場に選んでいる紀尾井ホールと浜離宮朝日ホールは、小から中規模のホールとして理想的だ。25日の木曜日には、仮に雨だったとしても、紀尾井ホールには是非ご来場いただきたい。演奏のほかに、天気の様子や、個人的な感情の動き、あるいは体調の様子など、諸々の中で聴くのが現実の生の公演だ。一期一会、録音では聴くことのできない、その時だけにしか味わえない、瞬間に消える音の厳しさと愛しさ・・・こんなことを思いながら生演奏を味わえば、雨も体調の悪さも、個人の悩みさえも、その時には必要だった要素の一つだとも考えられるではないか。

 こう、書いているとモチベーションが上がってきた。よかった。宮澤賢治の「雨ニモ マケズ 風ニモ マケズ・・・」・・・だ。

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