指揮者 Conductor
高橋 利幸 Takahashi Toshiyuki


徒然草−日々思う、あんなこと、こんなこと。−
 



*四百三十九段*<演奏会2週間前>2010.8.6

 先月末に、15年前に着任した学校の教職員との年に一度の会合があった。七夕の月、七月に毎年再会する。転勤してからの会の始まりだからもう10回以上にはなるだろう。去年の会には、齢40歳にして逝去した仲間の一人が出席できなかった。偲ぶ会となった。

 着任の時に、独身の教師が3人いた。男性1人、女性2人、大学を卒業したばかりで、なんとも若々しかった。その人たちも今は、それぞれ伴侶を得て、育児の真最中だ。生まれる命と亡くなる命・・・人間の宿命とはいえ、厳しい試練だとつくづく思う。

 演奏会の本番が近づいてきた。遅れていた招待券の発送を終えた。早速の反応があった。都合がつかなくて欠席との丁寧なはがきや、出席しますとのメールや、何にしても連絡を頂くのはうれしいものだ。

 招待券の発送そのものが相手の意向を省みない中での行為なので、それも有りかと思うが、来場できないからということで、わざわざ招待券を送り返してくださる方もいる。恐縮の極みだ。わがままを言わせて頂けば、返送いただかなくてもいいのだが、それは価値観の問題だろうからなんとも断言はできない。無意識に相手にしてしまう無礼な行為を自己反省するばかりだ。

 親しいと思っていた人が、実はそうではなかったり・・・こんなことが分かるのも、演奏会の指揮をする機会があればこそ、だ。

 ブラームスの交響曲を4番からさかのぼるシンフォニーシリーズだが、3番は予想外に強敵だった。高揚感は少ないし、諦観が表に出ているので、音楽からエネルギーを得たいと思って聴く人には、不満だろう、と察しがつく。

 4曲のブラームスのシンフォニーの中で、渋いこの曲を、どのように表現できるのか。曖昧模糊のうちに2週間前になってしまった。

 ベートーヴェンとブラームスの指揮をできるとは、なんという幸せ者なのだと改めて思った。

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