徒然草−日々思う、あんなこと、こんなこと。−

*八十五段*<ある日の出来事>2008.4.8

 春の嵐のような一日だった。雨と強風、それも台風かと思うばかりの強風だ。テレビのニュースでは傘を風で折られている人が何人もいたことを放送していた。

 桜の花もさすがにこの風ではほとんど落ちたかと思っていたが、夕方、仕事のために外出した時にみたらなんと健気にもかなりの花が持ちこたえていた。えらい!とほめたくなった。(ほめてどうなるものでもないのだが)

 しかし、着実に路上に広がるピンクの面積は増え、樹上の花は新緑の色が増えている。他の木々の新緑の前に、「葉桜」が春の訪れの前触れだ。花の咲き方、散り方、葉が桜と言わしめる「さくら」は完璧な存在として私には見える。

 片側2車線の国道でこんなことがあった。国道に面した店の駐車場から車が出てきたと思ったら、ちょうど2車線分をふさぐ形で止まってしまった。私は追い越し車線のほうを走っていたが、前を走っていた左側の車線を走っていた車が停車し、動かない車を押し始めた。全く動かない様子を見て停車していた車から何人かの男性が出てきて、車を押し始めた。運転席に乗ってみたが、ハンドルも動かないし、ブレーキもかかったままでどうにも動かない。エンジンキーとハンドルを連動させながら動かしているうちに、ハンドルのロックが外れたがエンジンはかからないままだ。結局、数人で車を駐車場に戻し、とりあえずの作業をして、また国道の自分の車に戻ったのだが、自分が追い越し車線で車を止め、左車線の先頭の人も車を止め押していたのだから、2車線が完全にふさがれた状態だった。もちろん、後ろは長蛇の列だ。

 ひとつ驚いたことがあった。そんな状態だから、誰か一人や二人はクラクションを鳴らすとか、いらだちのアクションをするのかと内心びくびくしていたのだが、その長蛇の列からは全然そんなこともなく、私も隣の車線の先頭の人も、ごく自然に何事もなかったかの様に車をスタートさせることができた。

 車の追い越しのことでトラブルになり、暴力を受けた知人がいたことも脳裏をかすめ、時折、いらだちのクラクションの音を出す車と遭遇することも多い最近だっただけに、後ろで静かに待っていた人たちの紳士的な対応から、人間、捨てたものではないな、とほっとした瞬間を味わうことができた。偶然のなかでの、心が温まるうれしい体験だった。



 

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