徒然草−日々思う、あんなこと、こんなこと。−

*九十五段*<想い出の断層−38−>2008.4.23

 サラサーテの「チゴイネルワイゼン」も想い出の一曲だ。中学、高校生の時のラジオの名曲ベストテンで耳にしたことから始まる。チゴイネルワイゼンはトップになることは無かったように思うが、ベストテンの上位には必ず顔を出していた。

 トップにならないと全曲をかけてはもらえない。中間部の哀愁をおびたジプシー民謡のようなメロディーと、それに続く激しい部分が印象深かった。はじめの部分のいかにもチゴイネルだと言わんばかりの管弦楽のテュッテイと、それを受けてのソロの演奏にも胸が高まった。

 もう一つの大きな想い出は、いま第一線で活躍しているUさんが中学生の時に、この曲で共演をしたことだ。学生音楽コンクールで一位をとった彼女が、習志野第一中学校の一年生として入学してきたのだ。オーケストラ部にも入部し、プロへの道と中学生としてのやるべきことをわきまえて、両立を見事に果たしていた。

 チゴイネルワイゼンを共演したのは昭和55年のことだ。この時は、習志野第一中学校の管弦楽も文部大臣奨励賞を受賞しており、記念の演奏会だった。この演奏会の少し前にUさんは、外山雄三さんの指揮でNHK交響楽団の「若い芽のコンサート」に出演しており、彼女から外山さんの指揮の仕方について一カ所だけアドヴァイスを受け、なるほど、と納得をしたのも懐かしい思い出だ。

 他にも、メンデルスゾーンのコンチェルトや序奏とロンドカプリツィオーソも共演することができた。メンデルスゾーンは習志野文化ホールで、ロンカプは石橋メモリアルホールが会場だった。石橋メモリアルホールは、現在は取り壊されて新しいホールへと生まれ変わるようだ。残響がたっぷりあり、演奏しやすいホールだった。

 チゴイネルワイゼン一曲からも、いろいろな思い出が広がってくる。中学生だったUさんは、今は中堅の奏者として日本を代表するヴァイオリニストのひとりになっている。中学生の時の様子が走馬灯のように走り抜ける。



 

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